持続化補助金 第 19 回 で Web 制作費を実質 1/3 にする方法
「補助金で Web 制作費が安くなるらしい」と聞いて
中小企業のオーナーや個人事業主の方と話していて、ときどき出てくるのが補助金の話です。
「ホームページをちゃんと作り直したいけれど、見積もりを取るとなかなかの金額になる」「補助金が使えるらしいけれど、書類が面倒で挫折した」「採択されるか分からないものに先払いはしたくない」。だいたいこのあたりで止まっている方が多い印象でした。
私も最初は同じことを思っていました。Web 制作とアプリ開発を業務委託で受けている、制作側の人間です。ただ、補助金の申請書を自分で書く立場になったことはありませんでした。
ただ最近、補助金活用の現場サポートに関わる機会がありました。電子申請を提出したのが今年の春で、採択発表は数ヶ月先という状況です。
書きながら気付いたことが、思っていたよりたくさんあったので、ここにまとめておきます。
「ウェブサイト関連費」の落とし穴
最初に共有しておきたいのが、ウェブサイト関連費の上限の話です。
持続化補助金には経費区分が 8 つあって、Web 制作費はそのうち「ウェブサイト関連費」に入ります。ところがこの区分には独特のルールがあって、ウェブサイト関連費は、補助対象経費合計の 1/4 が上限と公募要領に定められている。
つまり、Web 制作費を補助対象経費に全部突っ込むと、上限を超えた分は普通に自己負担になります。最初これを知らずに「Web 制作 50 万円分まるまる補助対象に」と組んでしまうと、申請の段階で再積算が必要になります。
公募要領の原文を読んで初めて気付くタイプのルールです。商工会議所の方も「これで失敗する申請が毎期そこそこある」と話していました。
動画制作費は「広報費」ではない
もう一つよく聞くのが、動画の経費区分の取り違えです。
直感的には「動画は広報物だから広報費」と思いそうになるのですが、公募要領によると、動画制作費はサイトに埋め込む前提でも独立した PR 動画でも、ウェブサイト関連費に区分されると明記されています。
これは意外と知られていなくて、実際に「動画 = 広報費」で申請して再修正になった例を、商工会議所の担当者から 3-4 件聞きました。
私が制作側として関わっている別のクライアントの Web リニューアル + 動画案件でも、最初の経費仕分けで「動画は広報費かと思っていました」と言われたことがあります。経費区分を組み直すだけで申請額が変わってくるので、最初の仕分けはちゃんと公募要領を見ながらやったほうがいい、というのが現場の感覚です。
「自分でできる業務」を外注すると弾かれる
委託・外注費にもひとつクセがあって、公募要領には「自ら実行することが困難な業務に限る」と明記されています。
これを真面目に読むと、「デザイン会社にデザインを外注する」という普通のやり方が、場合によっては対象外になります。デザインそのものは事業者が自分でやれる、と判断されるケースがあるからです。
逆に、ポスティング業者への配布外注や、印刷業者への印刷委託は素直に通ります。「自分でやれない理由」をちゃんと言語化できるかどうかで、通る/通らないが分かれている印象でした。
商工会議所で言われた一言
申請の途中で、東京商工会議所の担当者に様式 4 (事業支援計画書) の発行面談を受けに行ったことがあります。
そのとき担当者の方に言われたのが、こんな言葉でした。
「数値の根拠は本文で必ず明示してください。動画制作を広報費に入れる申請書は今期も多いですが、不採択の典型例です」
「補助金は申請書の文章力ではなく、数字と実装可能性で決まる」という言い方も繰り返していました。これは本当にその通りだと思います。
帰ってから、経費明細表の各行に対応する公募要領の該当ページ番号を脇に書き出して、ひとつずつ照合し直しました。地味な作業ですが、これをやっておくと自分の中での納得感がぜんぜん違います。
相見積もりは「形式的にならない」工夫がいる
補助金申請で相見積もりを取るときに気をつけたいのが、相見積もりが形式的なものに見えてしまわないかどうか。
審査側からすると、「同じ業態の似たような業者から 3-4 社取りました」というのは、見せ方として弱い。なので業態を意図的に散らす方針にしています。中堅 Web 制作会社、印刷専門業者、地域密着のフリーランス、別ジャンルの中小企業、というふうに毛色を変えて声をかける形です。
数を揃えるためだけに似た業者を並べる、というのはやらないほうがいいと思っています。
制作費はどこまで圧縮できるか
具体的な金額は出さない方針で書いていますが、ざっくりした感覚値だけ書いておきます。
補助率 2/3・補助上限 50 万円 (一般型の場合) のケースで計算すると、補助対象経費を上限ぎりぎりまで組めば、自己負担は 1/3 程度になります。
これに加えて、Web 制作以外の経費 (チラシ、メニュー印刷、ポスティング等) もまとめて補助対象に乗せられるので、リブランディング全体で見たときの自己負担はさらに下がる感覚です。「実質 1/3 になる」というのは、上限ぎりぎりまで組めたケースの話で、現実にはもう少しブレます。
このあたりの積算は、店ごとに事情が違いすぎるので、一般化された表よりも、個別に話したほうが早いと思います。
Jean de Pain Studio で受けている形
Jean de Pain Studio では、補助金申請のサポートと Web 制作と公開後の運用を、ひとまとめで受けています。
プランは Light / Standard / Pro の 3 段階あって、最初は Light の申請書ドラフト作成からというお客さまが多いです。詳細は サービス紹介 に書いてあるので、興味があればそちらを見てください。
採択前提のセット契約には、採択額に連動した成果報酬を組み込んでいて、不採択ならその分はゼロになります。「採択されるか分からないものに先払いしたくない」という冒頭の悩みに対する、私なりの答えです。
次に動くときの最低限
もし補助金本気組として動くつもりなら、最低限やっておいたほうがいいことだけ書いておきます。
- 管轄の商工会議所に事前相談を入れる (無料)
- 公募要領の最新版をダウンロードして経費区分を確認
- GビズID プライムを取得しておく (発行に 2-3 週間かかります)
- 直近 2 期分の決算書・確定申告書を手元に揃えておく
商工会議所の事前相談は、当たり担当者に出会えると審査員視点でのフィードバックがもらえます。事前にとにかく相談する、というのは効果が大きい印象です。
採択発表後に、前述の事例について、同意を取った上で Web リニューアル + 多言語 LP の Before/After を別記事で書く予定です。中国インバウンドまわりの話は別途まとめていて、そちらは 中国インバウンド × 飲食店 に書きました。
補助金まわりで迷っている方は、contact@jeandepain.com まで気軽にどうぞ。先に LP を 1 本、無料で試作するところから始めるのが、いちばん地に足がついた進め方だと思っています。